AnniversaryTAnniversaryTAnniversaryTAnniversaryTAnniversaryT  Implication(ヒカルの碁)Implication(ヒカルの碁)Implication(ヒカルの碁)Implication(ヒカルの碁)Implication(ヒカルの碁)Implication(ヒカルの碁)
 この話は最初WEB拍手にてとても短い短編として発表した、WEB初お目見えの「Treasure」シリーズの話でした。2005年10月のアキヒカオンリー用に加筆修正して無料配布本として配り、翌2006年のアキヒカオンリーにて発行の「Trouble Travel」に掲載しています。
 このパラレルシリーズは私の個人趣味がふんだんに入っていて、女装はあるし、二人の設定も古代遺跡などを探索する考古学者とトレジャーハンターのコンビになっています。
 因みに学者はアキラさんでヒカルがハンターです。
 どうもパラレルものはアキラさんは受難気味で、ヒカルのワガママ女王様度も上がる傾向になっているようですね(笑)。
 古代遺跡探索ものや冒険活劇映画が大好きな私としては、書いていてとても楽しいシリーズです。
 できればこのシリーズもサイトで連載していきたいですね。

 レーダーを確認すると、そろそろ日本の領海に入る位置に来ていた。後は空母に降りてヘリに乗り継いで博多に向かい、辛子明太 
子を買って空港からヒカルの元に戻ればいい。考えていたよりも早く着きそうだとアキラはほっと胸を撫で下ろした。
 
 だがそれも束の間、突如ロックオンされた警告音が狭い機内にこだます。レーダーには何も映っていないが、アキラは大きく回避
 
行動を行った。ほぼ同時にミサイルが翼を掠めて白い雲の中を突き進んでいく。
 
 どうやら相手はレーダーに映らない最新鋭のステルス戦闘機らしい。日本政府には先に連絡をとっているから、日本が領海侵犯を
 
理由に攻撃をしかけたわけではない。例えそうであったとしても、何か一言警告くらいはしてくる。いきなり問答無用で攻撃をするはず
 
がないのだ。昨今の世界情勢は複雑であるだけに常に衛星からの監視があり、ろくに警告もせずに理不尽な攻撃をしたら、後でどん
 
な批判を浴びるかわかったものではない。いくら外交が下手な日本でも、その辺りのことは分かっている。そうなると、恐らくこれはど
 
こかの国のものだ。アキラの行動を密かに監視し、単独で動いている彼を撃墜して捕らえるつもりだろう。
 
(困ったな…)
 
 さして参ってもなさそうにアキラは内心一人ごちた。今ここで攻撃されて戦闘機を捨てるわけにはいかないし、何よりもこんな事で
 
余計な時間をとりたくない。ヒカルの誕生日である今日中に戻って辛子明太子スパゲッティをご馳走せねば、三ヶ月近く別居すること
 
になるのだ。ただ別居するだけならまだしも、以前のように手紙も電話も厳禁になってしまうと、毎日悲嘆にくれて過ごすことになる。
 
 それだけは避けたい。避けなければ。いや、絶対に避ける!
 
 アキラが決意を固めるのは早かった。というよりも、どんな危機に瀕してもヒカル優先という明確な思考は、ある意味天晴れである。
 
 ヒカルとの甘い誕生日を過ごすためには、戦闘機の一機や二機、とっとと片付けてしまわなければ今後に響く。アキラは機器に手
 
を伸ばして素早くレーダーを切った。まともな戦闘機乗りなら自殺行為だと喚くところだが、素人であるアキラは細かいことは気にし
 
ない。彼は几帳面だがが、意外とずぼらな一面もあるのだ。
 
 レーダーに映らないステルス戦闘機なら、肉眼で確認して攻撃すればいいという、非常に明快だが短絡的かつ乱暴な思考のもと
 
で行われた行為であったが、アキラの勘は実によく当たっていた。
 
 レーダーに頼らずに眼で周囲を見回すと、ほぼ並走するように一台の戦闘機が近づいてきているのが見えた。
 
 ここまで迂闊に傍に来るのは、レーダーに捉えられないという過信と、アキラが素人だと侮っているからに他ならない。
 
 しかし彼らの認識は非常に甘かった。アキラは後ろをとられる前に急減速して反対に背後に回ると、回避行動を行いつつバルカン
 
砲をエンジンに当てて素早く離脱する。僅か数秒で敵機を航行不能にした腕前は、一人前のパイロットも唸るに違いない。
 
 最新機という肩書きも情けなくなるようなよろよろとした鈍重な動きで飛び続ける機体を尻目に、アキラの乗る戦闘機は遥か上空へ
 
と颯爽と飛び去って行った。
 

 さて、アキラが戦闘機で奮戦していた頃、南の島でヒカルはテレビを見ながら一人でもそもそと朝食を食べていた。
 
「……つまんねーの…」
 
 アキラが少ない時間をおして作ってくれた朝食を食べても、一人の食事はちっとも楽しくない。
 
 アキラが傍に居ないと、美味しいごはんも少しも美味しくなかった。
 
 折角の誕生日も、一緒に祝ってくれるアキラが居ないとやはり寂しい。彼がただ傍に居てくれるだけで、ヒカルの心は満たされる。
 
 元々が寂しがりやのヒカルにとっては、やはりアキラの不在は堪えるものだった。癇癪を起こして買物に行かせて追い出すのでは
 
なかったと、今更のように後悔しても既に遅い。今はひたすら彼の帰宅を待つしかないのだ。
 
「早く帰って来いよ、バカ塔矢」
 
 寂しげに呟いたヒカルの声は、殊更にボリュームを上げたテレビの音に掻き消された。
 

 ほぼ予定通りの時間に日本に到着し、博多の有名店で辛子明太子を保存分も含めてたっぷりと買ったアキラは、目的を達成した
 
喜びに浮かれつつ歩いていた。後は島に戻ってヒカルに辛子明太子スパゲッティを作って捧げれば、あれこれとそれはもう楽しい夜
 
を過ごせるに違いない。ヒカルはアキラに理不尽な要求をしたり、たまに怒って追い出したりもするが、その実とても寂しがりやだ。
 
 アキラが出かけて帰ってくると、いつも置いていかれた子供のようにくっついて離れようとしない。
 
 自分から追い出しておいても、アキラが傍に戻ると途端に甘えてくる。アキラという存在が傍に居ないことで、ヒカルは寂しさを改め
 
て実感するのだろう。はっきりと口にしないが、ヒカルにとってアキラは心の拠り所なのだ。ただそれを素直に行動で表せないだけで。
 
 一人ぼっちで留守番をした後でアキラと過ごすと、彼は日頃はしないような大胆な行為にも応えてくる。
 
 無意識にヒカルは、そうすることでアキラに愛情を示しているのかもしれない。
 
 例えば魅惑的に誘ってきたり、いつも以上に求めてきたり、恥ずかしがったり、許しを請うたり、実に様々なヒカルの姿を拝めそうだ。
 
『とうや…ねぇ…愛してる。だから……すっごく気持ちよくして?』
 
『あ…あぁ…!アキラ……もっと…もっとぉ…』
 
『……くぅ…んぁっ!い…っちゃう!あ…ああー!!』
 
『いい……そんなこと…されたら…あん!…変に、なっ…ちゃう…』
 
『も、も…ダメェ…許してアキラ…アキラ』
 
 これまでにヒカルと愛を交わしてきた行為を脳内にあれこれと思い出し、アキラはだらしなく相好を崩した。だが外見上は無表情を保
 
ち、全くもって変わっているようには見えない。見るものが見れば、口元に淫靡な微笑を浮かべているのが分かるだろうが、残念ながら
 
それを見分けられる人物はここには居なかった。
 
 さすがに素晴らしい美貌であるだけに、頭の中でどんな卑猥な映像を流していようとも、外見には影響を与えないのはさすがである。
 
 アキラは伊達に記憶力がいいわけではない。ヒカルとの初めての行為からごく最近に至るまで、ヒカルの艶姿はばっちりと鮮明に覚
 
えている。耳元で甘く高い嬌声を上げる姿くらい、いつでも思い出して愛でられるのだから。
 
 王子様の外見を保ったまま妄想を膨らませているアキラの今の姿をヒカルが見れば、むっつりスケベと呆れつつ指摘したに違いない。
 
 道路工事中で封鎖された道に据えられた看板に描かれた地図に従い、回り道をする。
 
 人通りの少ない道をしばらく歩いて、アキラは異変に気付いた。辛子明太子を無事買えて浮かれていた(妄想をしていた)ことと、この
 
辺りの地理に詳しくなかったこともあってすぐには分からなかったのだが、ここは余りにも人気がなさすぎる。
 
 それだけでなく、いかにも怪しげな雰囲気の男達がアキラの周囲を徐々に囲むように近づいてきた。
 
 さっきはどこかの国のエージェントだったが、今度は地下組織のような感じだ。民間の研究機関に依頼されたか、或いは自らが世界
 
政府の転覆を狙っているのか定かではないが、その目的の為に自分を狙っているのだけは予想できる。アキラが立ち止まってぐるりと
 
自分を中心にして囲んだ男達を見やると、黒服を着込んだ男がアキラの持つ辛子明太子の入った袋を指差した。
 
「その袋に入っているものは土産物じゃないな?史上最強の兵器『ダマスカス』だろう」
 
 男の単純明快な決め付けに、アキラは意識が遠のきそうになった。『ダマスカス』はアキラとヒカルが持っているといえば、確かに持っ
 
ていることになる。だが『ダマスカス』は有形のものではない。こんな土産物の袋に入れて持ち運ぶような類の代物ではないのだ。
 
「小僧…命が惜しければ、今すぐその袋の中身を寄越せ」
 
(…ただの辛子明太子なんだけど……)
 
 心で冷静に指摘したアキラだったが、折角ヒカルの為に購入した品をこんなどこぞの訳の分からない組織にくれてやる理由などない。
 
 自分の半分以下も生きていない輩から、偉そうに小僧呼ばわりされるのもどことなく複雑な気分を感じて肩を竦める。
 
 黙り込んだまま動かないアキラに業を煮やした男が紙袋に伸ばした手を逃れ、その場から跳躍した。眼の前にまで迫った男の肩を踏
 
み台にするように跳び、囲いを軽々と突破する。
 
 誰も居ない通りに着地すると、鋭い方向感覚を駆使して目的地である空港を目指して走り出した。後ろから集団マラソンを思わせる人
 
数で怒涛の如く押し寄せる組織の男達も、アキラをこのまま逃がすつもりはない。日本では警察官しか使用することを許されない拳銃を
 
懐から取り出して、アキラの細い背中に照準を合わせる。彼らの受けた命令では、子供であっても殺しても構わないという内容だった。
 
 消音付の銃にしたのは、幾らこの一体を彼らの組織が掌握したといっても、音が響いて警察に嗅ぎつかれるのは好ましくない。
 
 普通に撃つことに比べると威力は落ちるが、子供を一人殺すくらいは簡単にできる殺傷力がある。
 
 『ダマスカス』という最強の武器を手に入れるためには、念には念を入れて慎重にことを運ばなければならないのだ。
 
 追いすがりながらアキラを撃とうとした彼らだったが、一瞬にして持っていた筈の銃身が真っ二つに斬られ、思わず立ち止まって瞠目
 
する。すぐさま別の銃を取り出したが、それも瞬時に使い物にならいようにされてしまった。
 
 唖然としながら見ると、数メートル先を走っていた少年も足を止め、どこから出したのか一本の鞭を持っている。何の変哲もないただの
 
鞭なのに、彼が一振りしただけでまるで紙のようにライフルやマシンガンが斬られてしまう。どう考えてもおかしかった。
 
 ただの紙束ならいざ知らず、鉄製の銃をこんな風に斬り裂くなど、鞭にそんな力はない。
 
 慄然とした。まさかとは思うが、あの少年が持つ鞭こそが、その『ダマスカス』ではないのだろうか。
 
 果たして、彼らの勘は正しかった。次にアキラが鞭を一振りした瞬間、急激に細くなって枝分かれし、周囲の建物や電柱に糸のように
 
絡みついたのである。軽くアキラが引っ張っただけで、建物は粉々に砕かれて崩壊して降り注ぎ、電柱や塀はこちらに向かって崩れ落
 
ちてくる。あの鞭は、力を込める必要もないほど切れ味のある糸となって、周りの建造物を破壊する兵器となったのだ。
 
 持ち主の創造性で幾らでも変化し進化する兵器の力にぞっとすると同時に、これほど効率のいい武器はないと感心すら覚える。
 
 だが感心ばかりもしていられない。アキラは彼らを攻撃するつもりはなく、あくまでも足止めが目的だったのだ。
 
 崩落する建物から逃れた彼らが土煙の中を横切って這い出した時には、既に少年の姿はなく、男達は出し抜かれたことに今更のよう
 
に気付いた。悔しげに舌打を零しながらも、逃がした獲物を追うべく再び行動を再開したのだった。
 

 空港に着いたアキラは、足止めを逃れて先回りしてきた男を得意の体術で撃破し、社の待つ小型ジェット機に乗り込んだ。
 
 整備も補給も終えている機体は、アキラの搭乗を確認すると同時に、追い縋ってきた男達を尻目に空港を飛び立つ。通常の空港では
 
決してできないことだが、社所有の空港だからこそできる荒業だ。
 
 日本の領海を出たあたりで、アキラはほっと息を吐くと、間の抜けたチャイムの音が機内にこだました。
 
――ピンポンパンポーン。緊急放送や。おーい塔矢、お客さんが来てるで
 
 自家用ジェットの機長でもある社の暢気な声で機内放送がされる。まるで緊張感がないのでこれで緊急放送とは随分とご大層だ。
 
 たった一人の乗客であるアキラに対してわざわざ放送を使う必要はないと思うのだが、社はこれをするのが楽しいらしい。
 
――たぶん窓から見えるはずや
 
 社に促されるまま外に何気なく眼を向けたアキラは、今度は違う戦闘機が雲の下を飛んでいるのを見つけて些かげんなりする。
 
「今度は機体を変えて追いかけてきたのか…しつこいな」
 
 恐らく朝自分に撃墜された戦闘機が母艦に戻って機体を乗り換え、アキラを追ってきたのに違いない。
 
――どないするねん?若先生
 
 操縦席から声をかけてきた社に、アキラは肩を竦める。武器を装備していないこのジェット機は丸裸であるのも同然だ。攻撃を受けれ
 
ばひとたまりもない。恐らくそれを見越してこちらに停止勧告をしてくるだろうが、そんなものに応じるつもりも毛頭なかった。
 
「仕方ないから早めにご退場願うよ」
 
 アキラの言葉が終わる前に、戦闘機のエンジンは粉砕され、徐々に下降していく。どれだけ離れた相手に対しても『ダマスカス』の攻
 
撃は有効だ。所有者が望むありとあらゆるものに変化して応えるのがこの武器の特性であり、最も恐ろしい面でもある。
 
 その気になれば、全ての国の機能を破壊することすら簡単にできてしまう。
 
 だからこそ、アキラとヒカルの持つ『ダマスカス』を欲しがる。けれど彼らはいつも大切なことを忘れている。それを操ることができるの
 
は、『聖杯』の力を得たヒカルとアキラの二人しか居ないことを。
 
 アキラは星が瞬き始めた空を見上げ、ゆっくりと息を吐いた。思った以上に長くかかった買物は、やっと無事に終わりそうな気配である。
 

 おおよそ往復に14時間かけて戻った恋人手製の辛子明太子スパゲッティに舌鼓を打つヒカルはすっかり上機嫌であった。
 
 おかわりもして嬉しそうに食べる姿を見れば、半日以上かけて博多まで赴いた労力も報われるというものである。
 
 朝はどこぞの国のエージェントに狙われ、昼は闇の組織に追い回され、夕方にまたも戦闘機で狙われるという、結構波乱万丈なお買
 
物であったのだが、辛子明太子を死守してアキラは戻ってきた。愛の力とは凄いものである。
 
「美味しい?進藤?」
 
 ぱくぱくと勢いよく食べるヒカルを、アキラは瞳を細めて見詰める。先に食べ終えて辛子明太子を酒の肴に、二人の邪魔をしないように
 
テレビを見ていた社はというと、なるべく聞かないで耳に蓋をすることにしていた。
 
 下手に聞いたりすると、辛子明太子の辛さも砂を吐くほどに甘く感じるようになってしまう。
 
 二人はそんな社の様子など気にした風もなく、朝の喧騒もなんのそので、仲良く一緒にお食事中だ。
 
「うん!スゲーオイシイ。………あのさ、塔矢…」
 
「……・・・?」
 
 躊躇いがちに上目遣いに見上げるヒカルに、アキラは首を傾げて問うような眼差しを向ける。
 
「我侭言ってゴメンな」
 
「いいよ。キミが喜んでくれたのなら、博多まで行くなんて大したことじゃない」
 
 臆面もなく告げた台詞は、正真正銘本心である。彼にとっては、ヒカルの喜ぶ笑顔のためならエージェントも闇の組織も蹴散らして、
 
辛子明太子を空輸するくらい何ともないのだ。
 
 そのためにどれだけ多くの人間に迷惑がかかろうが、莫大な費用がかかろうが知ったことではない。
 
 社は砂糖菓子の甘さになった辛子明太子に眉を顰め、この博多名物を購入するためにかかった費用を目算して激しい頭痛を覚えた。
 
 燃料費や整備込みの飛行機やヘリコプター類のチャーター代にその他の諸経費をあてると、軽く日本円で億はこえる。アキラが何人
 
前を購入したかは知らないが、この一腹についていくらかかっているのやら。
 
 とんでもなく高額な辛子明太子なのに、どうしようもない甘ったるさは社に一抹の物悲しさを与えた。
 
 けれどヒカルとアキラは、社が食べている辛子明太子を砂糖菓子以上に甘くするような会話を恥ずかしげもなく続けている。
 
 既に社は辛子明太子を食べることも、酒を飲むことも諦めていた。どちらも甘くてとてもではないが口にはできない。
 
 百年近くも一緒に居るくせに、いつまで経っても新婚夫婦のようにいちゃいちゃべたべたしていながら、熟年夫婦のように互いを理解し、
 
分かり合うのだから、ある意味理想的な恋人関係だ。
 
 とはいえ、傍に居る自分としてはもう少し周囲のことも考えて欲しいと切実に願う。せめてそんな会話は寝室でして貰いたい。
 
 こんな夜はさっさと退散するに限る。社は酒瓶とつまみの明太子を持って、さっさと客用寝室に引き上げた。
 
 友人の気遣いも二人は気付く様子もなく、周囲の空気は益々甘く蕩けてどことなく淫猥な雰囲気すら醸し出し始める。
 
「…久しぶり食ったら、スゲー美味しかった。やっぱりおまえが作ってくれる料理が一番ウマイ」
 
「どういたしまして。それよりも進藤、誕生日おめでとう」
 
「へへへーサンキュ」
 
 ヒカルは照れ臭そうに笑うと、アキラの膝に座って身体を摺り寄せてくる。懐いてくる恋人の髪を優しく撫でながら、そっと耳元に囁いた。
 
「いつまでもキミを愛しているよ」
 
「……オレも…愛してる」
 
 恥ずかしげに頬を染めながらヒカルは頷くと、はにかむように微笑んでアキラのネクタイを掴んで引き寄せる。
 
 二人は眼を合わせると、永遠の誓いをより強固なものにするように、互いに敬虔なキスをおくったのだった。
 

                                             2005.10.8脱稿/2006.2.5改稿/2006.11.15改稿