この話は広夢さんのお誕生日用に書き下ろした話でして、リクシーンとして『花束を肩に乗せる道徳』を入れています。花も『ひまわり』と指定してもらっていたので、ひまわりを使いました。
ハルコミ用のコピー本『Change The World』に載せたんですが、小部数発行だったのでHPにUPすることに…(汗)。これと対になる話を女天化で書きましたので、それも今後UPしようかな〜なんて思ってます。
これを今回打ち直していて、紫陽洞道徳に比べてこっちの道徳はえっちが下手だな、となんとなくですが思いました(笑)。
気のせいかな〜?まあ、若くて体力あるからそっちの方ででカバーかね、こいつは(深読み禁止/笑)。
部屋は既に明りが落とされベッドサイドのランプが唯一の光源である。
その光にラッピングに使われている金色のリボンが2つ、鈍く反射していた。
風呂にも入ってさっぱりし、後戻りできない状況であるというのに、天化は逃げたくて仕方なかった。いきなりな展開に頭がパニック
状態で、別に初めてというわけでもないのに鼓動が早いまま収まらなくて落ち着かない。
パジャマがないからバスローブ姿だし、どうせならちゃんと着替えのある状態で来たかった。それにまだチョコレートもプレゼントだっ
て渡せていないのだ。これから始めてしまうと、渡すのが明日になってしまう。
折角のバレンタインデーなのだから、できるなら今日のうちに渡したいではないか。
チョコレートの箱を眺めていてもどうにかなるわけでなく、それでも諦め悪く見詰めていると、ギシッとベッドの軋んだ音がした。いつ
のまにか横に座っている道徳を見て、風呂から出たことにも気付かなかった注意力の足りなさに、情けなくなってしまう。
遅れ馳せながらさり気なさを装って、距離をおこうと座る位置をずらそうとしたものの、道徳の腕が伸びてきて逃げる間もなく胸に抱
き竦められる。広い胸板にうっとりしかける自分に、流されるな!と言い聞かせて強引に押し退けた。
「ちょ……ちょっと待つさコーチ。始める前にチョコとプレゼント渡すから!」
「俺はチョコよりも天化がいい」
こんな台詞を恥ずかしげもなくきっぱり言い切る道徳は、今世界で一番強いかも知れない。
だが、必死になって道徳を押し返す天化も負けてはいない。
「チョコ食べてくんなきゃやだって。毎年殆ど食べないんだから……」
「俺は甘いものが苦手なんだよ。せんべぇとかにしてくれたら食べるのに」
離れかけた天化の隙をみて再び引き寄せ、首筋に口付けを落としながら胸元に手を差し入れる。見かけ以上に華奢な肢体をベッド
に縫いとめ、上に伸しかかった。
「や……ぁ…駄目だってば……一粒でもいいから食べるさ」
撫でまわす手に身を震わせながら、まるで力の入っていない拳でぽかぽかと叩いて言い募る天化に根負けし、道徳は仕方なしにサ
イドテーブルにあった包みを開いた。生チョコが1ダース並んでいるのをみて、何かを思いついたようににやりと笑う。
「じゃあ、天化が食べさせてくれたら食べるよ」
真っ白なシーツに見事な黒髪を広げ、少し乱れ開いたローブからほの赤く染まった肌を見せた天化は匂やかで艶かしい。意外に早
く意味を理解したらしく、瞳を大きく見開いて口を金魚のようにぱくぱくと動かし、声にならない抗議をする。肌がみるみる桜色に染まっ
てゆく様を楽しみながら、耳元に駄目押しに囁いた。
「食べさせてくれないと、今回のバレンタインデーはチョコを一口も食べないことになるけどな」
こうして自分を困らせることを道徳はよく言う。べつにしょっちゅうという訳ではないが、なんのかんのと悪戯をしたりからかったりして、
天化より6歳も年上のくせにやることが実に子供っぽい。
でもそんな一面を見れたりするのも自分だけだと思うと、優越感に浸れることも事実だ。
「……う〜………分かったさ。んじゃ食わせてやるから、ありがたく思うさね」
「はいはい、ありがたき幸せでございます」
高飛車な態度で告げられても、照れ隠しだと分かっている道徳はにこにこと楽しげに天化の眼の前にチョコの箱を差し出す。天化
が一つ摘むと残りをサイドテーブルにすぐに戻した。
23歳にもなるいい歳をした男が雛鳥よろしく口を開けるだなんて恥ずかしくないのかと思いながらも、こんな風に甘えられると嬉しい
自分にも呆れてしまう。末期症状なことを自覚しつつ、わざと素っ気ない態度で口の中に放り込んでやると、間髪入れずに道徳の唇
が重なってきた。いつものよう応えてうっすらと開いた唇に、道徳は溶けかけのチョコを舌先に乗せて口内に差し入れる。
「は……う……ん」
互いの舌で柔らかなものを転がし行き来させ、絡み合う舌先でゆっくりと溶けてゆく甘味を楽しんだ。
甘味の少ないチョコレートの味が広がり、消えてしまっても二人は唇を離すことなく貪り続ける。
息を乱してすっかり脱力している天化の指先には、さっき摘んだ時に付いたココアが付着していた。白い指に付いた茶の模様が妙
に眼を引き、手を取って唇に寄せ丹念に舐める。すると、感じやすい少年はこれだけでもう瞳を潤ませ始め、しがみ付いてきた。
付け根から先まで舌を這わせられる度に、まだ触れられてもいない部分が反応してくる、熱くてもどかしくて、でもこの感覚も堪らな
いほど気持ちよくて、どうすればいいのか分からない。
再び重なった唇が悪戯をしかけるように耳たぶを噛むと、天化はビクリと腰を浮かせた。
「……天化はチョコレートよりずっと甘いな。甘いもの嫌いの俺でも、お前の甘さは凄く好きだよ」
息を吹き入れるように囁く僅かに掠れた低い声に背筋がぞくぞくして、より一層身体の熱を上げられる。たったこれだけのこと刺激で
道徳に触れられたくて堪らなくなった。そんな浅ましさが嫌なのに、求めることを止められない。
「も……変なこと言ってないで…」
内股を擦り合わせるようにして震える天化を宥めるように口付け、胸元を覆っていた不粋な布を広げて舌で転がす。突起を捏ねて指
先で弾くと、薄い胸がもっと悦楽を求めるように差し出された。
「あん!……う……ん」
唇で先端を擦り合わせ、ローブの紐を解いて内股に手を滑らせる。弱々しく離そうとする腕に苦笑を零し、太腿をゆっくりと指先で辿っ
てやった。わざと核心部分には触れず、裾を割り焦らすように周囲を手で撫でまわしながら、唇を下へと降ろしてゆく。
膝を掴んで柔らかな内股に唇を寄せ、勃ち上がり始めている天化自身に触れた。
「……ふぅ…あ…」
道徳の眼の前に大きく足を開いた自分の姿が恥ずかしくて、天化は顔を背けて瞳を堅く閉じる。
それに気付かなかったフリをして舌先で先端を擽り、掌で包み込んで擦りたてた。
「…や!…ああん……あ…」
弱々しく神を掴む少年の手と同じように、彼自身もどんどん熱さを増していっている。こうして直接触れてやっただけで、はちきれんば
かりになっていた。先端からは透明な雫がたっぷりと溢れだし、滑りを借りて更に擦りたてると卑猥な音を響かせる。
自分の身体なのにまるで他人のように思えるほど今夜は感じてしまう。いつもなら耐えられる筈なのに、もう我慢がきかなくなってい
る。導いて欲しいけれど、そんな事は恥ずかしくて口にもできない。道徳を受け入れている時のように、気持ちよくて自分でも何をしてい
るのか分からなくなってしまえば、こんな事も言えてしまうのだろうか。
柔らかな舌の暖かさが堪らないほど煽り立ててきて、本当に我慢できそうにない。
ここのところ構ってやれなかったことと、いつもとは違う状況に置かれていることとで、天化の限界が来るのも実に早い。口腔に含ん
で少し扱いてやっただけで、あさりと弾けてしまった。呼吸すらままならない程、息を乱して四肢を投げ出す天化の瞼に軽く口付ける。
「メインディッシュはこれからなんだから、この程度でお休みってことはないようにな」
「……そんなぐらい分かってるさ」
へらず口だけはいつも通りの天化だが、瞳は今にも閉じてしまいそうだった。それを許すまいとするように、再び貸しに手を伸ばして
刺激を与え始める。
「あ……はぁん……コーチィ…」
恥ずかしげに身体を丸めながらも、甘い息を零して自分を求めるところがまた可愛い。天化の放ったものと先走りの雫ですっかり濡
れた指で、秘部を探ってみる。久々のせいで堅そうではあるが、すっかり濡れそぼり、触れると誘うようにひくひくと動いた。
撫でながら揉み解してやると、天化の唇からとろけきった嬌声が零れる。誘うように蠢くそこに濡れた指を差し入れ、抜き差しを繰り返
しながら時折感じやすいところを突いてやると、さっき放ってから一度も触れていないというのに、天化自身は力を取り戻しつつあった。
道徳に触れられる部分がひどく疼いた。こんな刺激では物足りなくて、もっと決定的な悦楽が欲しくて身体の奥が痺れるように熱くな
る。ねだるように無意識に揺れ動く腰がひどく浅ましくて嫌で仕方ない。
1本2本と指を増やしていく度に、天化のそこも応えて締め付けてくる。その無意識の行為は、天化の熱い中に入った時の快楽を連想
させて、道徳の熱をも上げていった。
「なあ……天化。そろそろいい?」
内部で指を行ったり来たりさせながら、とろとろと先走りをあふれさせる天化自身を握り込み、唇を触れ合わせて尋ねてみると、腕を
背中に回してしがみ付いてくる。
「…うん…早く……コーチ……」
頬を羞恥に染めながらも、素直に求めてくる天化からは眼を離すことのできない色香が溢れていた。それに加えて離すまいとするよ
うにくっつく仕草がいじらしくて、道徳は抱き締める腕に自然と力を込める。
足を大きく広げて身体を割り込ませ、ひくついている秘所に張り詰めた己を押し当てた。これから起こる快楽を期待してか、それとも
挿入の痛みを恐れてか、天化の身体が大きく震える。安心させるように深い口付けを与えながら、道徳は一気に身を進めた。
「んん!……あっ…はあ」
舌で突起を探り、自身を擦ってやっているうちに強張っていた力が抜けて甘い喘ぎが零れてきた。腰を掴んで何度も貫いて、天化の
感じる部分を集中的に攻め立てる。一旦力を失いうな垂れていた天化自身から零れるものの滑りを借りて、動きに合わせて掌を動か
した。内部の締め付けがだんだんとうねるように蠢きだし、道徳を包み込む。
気がつくと、天化が自ら腰を揺すって大きく足を広げて絡めてきていた。無意識にこういう仕草をされると感じて求めてくれているのだ
と思えて、不思議と充足感めいたものを得ることができる。
最後を促すために先端をきつく擦ってやると、普段決して聞くことのない高い声が室内に細く長くこだました。
殆ど眠りかけてまともに動けない天化を連れて風呂に入り、情事で汚れてしまった身体を洗い新しいローブを着てベッドに横たわる。
すぐに寝息が聞こえてきて苦く笑い、寒くないように肩まで毛布をかけてやった。シーツなどがすっかりメチャクチャになってしまって
いる隣のベッドを眺め、つくづくツインの部屋をとっておいて良かったと思った。
温もりを求めてか、もぞもぞと甘えるようにくっついてくる少年の神を優しく撫でて、チョコレートと一緒に置いてあったもう一つの包み
を開けてみる。中に入っていたのは暖かそうな手袋で、どこかで見たことのある感じのものだった。
記憶を掘り起こしてみて、確か天化がこれと似たデザインで色違いのマフラーをしていたことを思い出す。
これを見ていると、デパートを落ち着きなくうろうろしてプレゼントを下がる天化の姿が眼に浮かぶようで、何だか微笑ましかった。
同じマフラーにしないところがまた天化らしくていい。
何の気なしに時計を見て、更に面白くて小さく吹き出してしまう。時計はギリギリ14日を保っていたが、後1分程で15日になるところだ
った。意地でもプレゼントを14日に渡そうとする、天化の執念のようなものが手袋に乗り移ったように感じて、自然と笑みが零れた。
『明日』が『今日』になってしまう直前に、生チョコレートをもう一つ口に入れて顔を顰めた。いくら甘さを控えたものでもチョコレートは
チョコレートで、道徳としてはかなり甘ったるく思える。
(今年もケーキにして天化に食わせるか)
折角貰ったものだというのに、非道にも渡した本人に食べさせる算段をして手袋をサイドテーブルに戻す。
昼のデートをバレンタイン当日にできなかった分、繰り延べた今日はそれなりにサービスしてやった方がいいだろう。なるべく無茶な
注文が来ないことを祈りつつ、スタンドの明りを消して毛布に潜り込んだ。
擦り寄ってくる少年の額にキスをして、腕の中に抱き込んで瞳を閉じる。
二人で寒い街を歩く時、あの手袋ごしに伝わる天化の温もりを楽しみにしながら。
2001.3.1/2001.5.12