ACTⅦ  土曜日(SATURDAY)


 ヒカルは幸せな夢を見ていた。アキラと一緒に碁を打ち、検討をし、他愛もない言い争いをしては仲直りをしながら、共にいる。
 それはこれまで当り前の生活の中で過ごしてきた日々だ。
 だがその毎日がどれほど貴重で有り難く、幸福に満ちていたのか、想像するまでもなく分かる。
 夢の中の自分はとても幸せそうで、ヒカルは少し羨ましかった。
 でもヒカルにもアキラは居る。今は辛いけれど、アキラが傍に居てくれれば乗り越えることができるに違いない。
 だからせめて、せめて夢の中の自分には、この日々を大切にして今以上に幸せになって貰いたいと思う。辛さも苦しさも、乗り越えて。
 ヒカルは殆ど祈るような気持ちで、そう願っていた。

 銀盆のような月が、青白い光で室内をぼんやりと照らしている。
 割れた窓はろくに修繕されないまま、月明かりを取り入れていた。
 薄闇の中で照らされた雑然とした部屋には細々な物品が乱雑に散らばり、纏まりがない。この部屋で生活をしていた人物を表すように。
 アキラはソファに身を横たえ、ヒカルは傍にぴたりとくっつき、抱き合うようにして眠っていた。その足元で彩が丸くなっている。
 社も彼らのすぐ近くの一人掛けのソファに身体を投げ出して寝息をたてていた。三人ともすっかり熟睡している。
 そんな彼らの眠りを邪魔しないように、静かにソレは室内に入ってきた。割れた窓からするすると音一つ立てずに侵入を果たす。
 ソレは昼間に室内を物色していた触手であった。
 本体が不審を抱いたのか、或いは獲物を捜し求めて戻ってきたのか、どちらにしろ触手は再びこの部屋にやってきている。
 触手はすぐに眠っている三人を見つけた。中央の広めのソファで眠る二人と一匹を、興味深げに見詰める。眠るという行為自体を不思議に思っているように、
触手は眼を傾けた。事実、触手を操る異星人には眠るという行為自体がなかった。眠りという休息をとらずに何時間でも働くことができる。
 彼らの脳は大きく、知能も異常に高く理性的だ。しかし反対に殆ど感情というものを持ち合わせず、感情の起伏もない。
 人間や動物は、性差によって感情の高まり方が変わり、考え方も変わるが、彼らは基本的に共通の意識と知識を共有し性別もない。
 個体ごとに身体が分かれていても、全体的な意識は繋がっている。
 感情よりも知性が大幅に優先されているお陰で冷静であるかもしれないが、反面他者を思いやる感情は持ち合わせていない。
 だからこそ彼らはとことんまで冷酷になれる。冷酷かつ残忍な彼らは、それ自体が陰惨である事実に、気づいていないのも無理からぬことだった。彼らの高い
知識の前には感情など無意味なのだから。
 故に、彼らに創造性はあっても想像性は全くないと表現しても過言ではなかった。人間は夢を抱いて希望や目標を持つが、彼らの場合、目標は夢ではなく単
なる到達地点に過ぎない。そこがまず地球に住む生物との大きな隔たりだった。
 進化の過程で知能を極端に優先したお陰で、彼らの肉体は虚弱ともいえた。機械化が進み、自らが動くことは殆どない。だからこそ、様々な機械を使って攻撃
し、姿を現さずに操縦している。
 それが彼らの住んでいる星では当り前で、快適なのだろう。
 人間にとってはこれでは弱くなるのも当然だと感じても、地球環境に住まう生物の観点からの感覚とはまるで違っている。
 まさに人間にとっては、想像の範疇外のような生物である。
 アキラもヒカルも何も気づかずに熟睡しきっている。まるで彼らの寝顔をもっとみようとするかのように、触手はすぐ傍まで近づく。
 触手は人間のメカニズムをまだ完全に把握しているわけではなかった。今後のために人間の生理や繁殖について知るのは必要なことだ。
 彼らの生きてきた世界と、この地球の環境の差は歴然としている。地球の豊かで美しい自然は、彼らがずっと欲していたものだった。
 自分達の世界では遥か昔に自然は失われ、星は緩やかな滅びへと向かっている。彼らは何としてでも地球を手に入れたかった。
 そして地球には、彼らにとっての栄養源となる人間が多く生息している。文明もまだまだ原始的で、彼らにとっては侵略するにはまさにうってつけの星が地球だった。
 ヒトが進化しきれていない絶好の機会を、逃すわけにはいかない。
 触手は眠っている少年達を様々な角度から観察した。
 ヒトは男と女の二つの性に分かれるが、この三人は全員が同性で男ばかりだ。それもまだ年若い部類に入るだろう。
 この三人は捕まえておいて、後の繁殖に使う方が有効的に利用できる。中には同性同士で繁殖する場合もあるらしいが、どっちでもいい。
 人間の生理について、性というもの自体がない彼らには理解できないが、それらが少数派であるという程度の認識だった。
 間近で見詰めてくる触手の気配に気づいたのか、ヒカルの瞼がゆっくりと開いていった。ぼんやりと彷徨っていた視線が、触手の『眼』とぴったりと合わさる。
 瞼のない触手の眼を茫然と見返しながら大きく瞳が見開かれていく。
 同時に口もあんぐりと開き、零れんばかりという表現通りにヒカルの瞳はいつも以上の大きさになっていた。
 互いに見詰めあい、探り合うような緊張感が生まれたのは一瞬のことで、すぐにその均衡は破られた。ヒカルの叫び声によって。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
 闇夜の静寂を粉々にする絶叫に、アキラと社は飛び起きる。彩も声に驚いてソファの上から飛び降りた。
 アキラは目覚めると同時に胸に取り縋ってきたヒカルの様子から、危険を察知した。すぐ傍に出現している触手を見つけるやいなや、手近にあった重そうな灰皿で
渾身の力を込めて叩く。思わぬ攻撃に、触手は慌てて窓の外へと逃げていく。だがそのついでのように彩を捕らえられ、連れ去られてしまった。
「彩!」
「進藤っ!」
「進藤待てやっ!」
 慌てて彩を追いかけて扉から出て行ったヒカルを、アキラと社が追いかける。こんな時に外に出るなんて、まさに自殺行為だ。
 だが彩を殊の外可愛がっていたヒカルが、放っておけるはずがない。それはアキラも社も、痛いほど肯ける気持ちだった。
 ヒカルを追いかけて外へ出たものの、どこへ行ったのか分からない。
 草原は未だに薄暗く、どんよりと曇った空から星明かりは見えなかった。頬を撫でてくる風は心なしか生臭さがあって薄気味悪い。
 アキラと社は二人揃って周囲を見回したが、ヒカルらしい人影は見つからなかった。
 二人は相談せずとも示し合わせたように、ペンションをそれぞれ別方向から回るように走り出した。

 社はヒカルの姿を求めて走っていた。しかしこんな時に限って草原はとても広いように感じられる。
 足元に生えている草に足をとられるような気がして、余計に走り難いように思えた。
「くそったれ!」
 無意識に毒づきながらも、ヒカルを探し続ける。社の中に再び理不尽な怒りがふつふつとわいてきた。それは他人や他の存在に対してというよりも、不甲斐ない
自分に対してのものだった。ペンションの周囲を見て回り、更に範囲を広げようとしたところで、社はヒカルの叫び声を耳にした。以前に聞いたあの絶叫ではなく、
緊迫した悲鳴に近いものである。
(…進藤?)
 社は声がした方角に向かって足を速めた。ここしばらくなかったくらい、ヒカルの声には彼らしい感情が篭もっている。それにさっき出て行った時もいつもの雰囲気
に近かったような気がした。なんにせよ、ヒカルが危機に陥っているのなら、仲間である社は彼を助けるのが当然だった。
 ゆるやかな丘を登りきり、肩で息をしながら周囲を見回す。すると、斜面を下りきったところに、ヒカルが彩を抱いて戦闘機械から逃げようとしている姿が見えた。
 すぐにヒカルの元へ走り寄ろうとしたが、何かに足をとられ、その場に突っ伏すようにして倒れる。足元を見ると、細い紐のような触手が片足に絡み付いていた。
 背筋が一瞬にして凍った。この管から血を抜かれたら最後、社は殺される運命になる。だがよく観察してみると、触手は社を捕まえているだけで、血を抜こうとは
していないらしい。内心ほっとしながら、思いきって触手を掴んで解こうとした。
 だがしかし、脹脛から足首にかけて巻きついているそれの力は存外強く、社の指の力ではまるで解けない。それどころか、触手は社の意思などお構いなしに、
引きずって運び出した。
「おい!こらっ!待たんかい!」
 何に向かって喚いているのか人によっては奇妙に思うかもしれないが、とにかく必死だった。このまま連れて行かれるのはまずいと、それだけは分かっている。
 引きずられて力の入らない体勢のままでも、諦めずに触手を解こうと躍起になっていた。だがその努力はまるで実っていない。
 柔らかい草地とはいえ引きずられていれば、小石などに身体がぶつかって擦り傷ができる。何とか引きずられまいとして踏ん張ろうとしても、片足では心許ない。
手が掴むのは頼りない草だけで、葉を数本引き千切るのが関の山だった。
 皮肉にも、社が触手から逃れようとしながらでも、ヒカルの傍へと着実に彼は近づいていく。どうやら、ヒカルを追っている戦闘機械がこの触手の本体らしかった。
 本体に近寄るに従って社の片足は持ち上げられ、斜面の半分以上を下ると、宙吊りにされて荷物のように吊り下げられた。
 こうなると、いくらなんでも触手を解くわけにはいかなくなってくる。下手に触手が社を離したりすると、彼はまっ逆さまに落ちて命を落とすだろう。さすがにそれは
勘弁して貰いたい。こんな時に考えることとしては不適切だとは分かっても、社は思わずにいられなかった。高所恐怖症でなくて良かったと。
 もしも高所恐怖症なら、間違いなくパニックを起こしていただろう。その点、社の場合は比較的余裕と冷静さを保っていられた。
 ここまでくるといい加減開き直ってしまう。
 逆さ吊りにされたまま下を見下ろすと、本体の足(人間なら太股の位置くらいの高さになるだろう)で何かが爆発する。焦げ臭い匂いはするが、本体には何の影響
もなかったようだ。平然とした様子で歩き続ける戦闘機械を苦々しく思うが、社の身体もそのまま遠慮会釈なしに運搬され、頭の部分の後ろの辺りに取り付けられた、
籠のような物に放り込まれる。まるで畑に生えている野菜や、果樹園の果物と同じ扱いだ。
 正確にはそれは籠ではなく、食用のために繁殖させ、飼育する人間を捕まえるための檻であったが。
 既にそこには多くの人々が閉じ込められていた。子供も居れば、老人も大人もいる。男もいれば女もいた。様々な身なりの人がなんの整合性もなくひしめき合い、
来るべき運命に委ねるように、誰もが絶望しきった暗い表情をしている。こんな場所に閉じ込められてしまった時点で、人の心は一気に萎縮してしまうのかもしれない。
 彼らの姿を見ていると、希望の光が舞い降りるとは、社ですら思えなかった。

 ヒカルは捕まえられた彩を追いかけていた。激しく鳴き続ける彩の幼く高い鳴き声を頼りに、全速力でひた走る。
 ここ数日間、アキラに頼らなければ何もできなかった少年とは思えないほど、ヒカルの行動力は普段通りの域に達していた。
 人間の精神は落ちるところまで落ちてしまうと、浮上する時の勢いも存外早いものらしく、まさに今のヒカルがそうだった。
 それは恐らく、彩という自分が護るべき存在を見出したヒカルの、保護者意識のようなものからきているのかもしれない。他にも、子猫の名前が敬愛する棋聖と同じ
音韻であるのも関係している。声のする方角へ少しでも近づけるように先回りしていくと、徐々にではあるが彩の声が大きく聞こえてくる気がした。
(居たっ!)
 声の聞こえやすい方へ走っていくと、彩が触手に運ばれていく姿が見えた。碁においても相手の思考を先読みし、先手を打つのは必要である。ヒカルの読みはその
経験地を生かして見事に当たっていた。
 触手はするすると丘の斜面に向かっている。このまま行かれたりしたら、斜面を登ると走る速さが遅くなるだけに、ヒカルには不利だ。
 マラソン選手でもないヒカルにとって、このままのスピードで斜面を登っていくのは不可能だった。勝負を決めるなら今しかない。ヒカルは一気にスパートをかけた。
 触手が丘に向かうまでに追いつき、眼の部分を両手でがっしりと掴む。ヒカルの体重で、触手の動きは随分遅くなったようだった。
「返せよ!このっ!」
 彩の小さな身体を捕まえている眼の根元から伸びている細い触手を掴み、引きずられながら解きにかかる。触手は抵抗するように時折ヒカルを揺さぶりながらも、
そのまま丘を登っていく。子猫はヒカルがすぐ傍に来たことで落ち着いたのか、鳴かずに大人しくなった。
 だがヒカルは大人しく黙っている気はない。例え小さなチャンスでも逃さずに、効率的に利用するつもりでいる。
 今までどうしてこんな気持ちにならなかったのか不思議なほど、気持ちが高揚し、本来の負けん気と気の強さが身体に活力を与える。
 ヒカルはひたすらチャンスを待ちながら、触手から離れずにしがみついたまま、一緒になって足を動かしていた。
 高低の低い丘を登りきり、なだらかな斜面となった中腹あたりには廃墟となった家屋があった。触手はその廃墟を迂回するようにして伸びている。家屋が近づくに
従って、状態が見えてくるようになった。コンクリートの壁が崩れて散らばり、幾つもの鉄骨がむき出しになって、鋭利な刃物が立っているように見えるものもある。
(これを使わねぇ手はないぜ)
 口元に不敵な笑みをヒカルは浮かべた。
 方針が決まると触手の眼を再び掴み、彩を捕まえている触手をわざと自分から遠ざけ、勢いをつけて一気に斜面を駆け下る。
 今までヒカルが殆ど無抵抗でついてきていたこともあり、荷重がかかっていたことは余り影響を及ぼしていなかった。
 だがここにきて、ヒカルの体重と一緒に斜面を下る力が加わり、触手は抵抗しきれなくなる。元からこの触手は偵察用であり、獲物を捕らえるようにはできていな
いのだ。獲物を捕まえる専用の触手は大の大人を二人や三人は軽く持ち上げられるが、偵察用の触手は子供の体重くらいまでしか対応できない。
 ヒカルが無抵抗であった時はまだ許容の範囲内であったが、斜面を下る加速力と体重、それに比例する重力もが加わり、触手に設定されていた最高積載荷重
を大きく上回った。触手が完全に対応しきれていないのを確認すると、ヒカルは更に足を速めて掴んだ眼を廃墟と化した家屋へと誘導していく。
 尖った鉄骨の傍まで近づくと地面を蹴り、ダンクシュートの要領で触手の眼をそれに渾身の力を込めて突き刺した。眼はあっさりと破壊され、それに付随していた
細い触手も力を失い、だらりと垂れ下がる。人間の横暴な仕打ちによって破壊された触手は、切れた部分を残して本体へと逃げるように戻っていった。
 一方のヒカルは足場の悪い瓦礫を避けて草地に着地したものの、バランスを崩してそのまま丘を転げ落ちる。
 解けた触手から逃れた彩も、ヒカルを追って斜面を駆け下りた。
「いって~」
 呻きながら背中を擦り、ヒカルは肘をついて起き上がろうとする。痛みはあったが、それよりも自分の作戦が上手くいった満足感の方が上回った。
 物理学などに詳しくないヒカルであっても、これまでの経験則で身体が理解している。あの触手が人間の重さに十分対応しきれていないのは、既に観察して分か
っていたのだ。しかし触手の眼から伸びている細いものは意外と力が強く、ヒカルの力で引っ張ったところで彩を救い出せそうになかった。
 だからこそ、今回の手段を使うことに決めたのだ。
 ヒカルを心配するように彩は顔を覗き込み、ぺろりと頬を舐めてきた。くすぐったそうに微笑むと、小さな頭を撫でてやる。
 自分は大丈夫だと知らせるように。
 転げ落ちるときに石などに当たったのだろう、立ち上がると身体の節々が痛む。だがそんな事にかまけている暇はない。
 本体がここに来るまでに、一刻も早く離れなければならないのだ。
「帰るぞ彩。塔矢と社が心配してる」
 ヒカルは彩を抱き上げると、丘を登ってペンションに戻ろうとした。
 しかしその時、背後であの不気味な汽笛が鳴り響き、思わず振り返った。眼に入った異様な姿に思わず硬直する。
 これまで以上に不気味な様相に、悲鳴じみた驚きの声を上げた。
 ヒカルが見た戦闘機械は、幾つもの触手を周囲に伸ばし、その一つ一つに数人の人間を捕まえている。
 三本の足のすぐ上についた頭のような部分の下には籠があり、捕らえた人々を次々にそこへ放り込んでいった。
 その中には小さな子供も居れば、年若い男女に老人、ヒカルと同年代の少年など、多岐に渡っていた。
 既に籠の中は満杯近くになっており、捕まえられた人々がひしめき合い、それぞれの絶望に浸りきっている
 籠の中に入れたら何かの選定を行うらしく、彼らの気紛れな時に、誰か一人が頭の部分に触手によって引きずり込まれる。
 基本的な選定基準は『若さ』であった。幼い子供や若い男女、今後十分繁殖させることができる存在は、内部にすぐ取り込まない。
 彼らは元から味の好みを抱くような味覚は持ち合わせておらず、食べるという行為自体を行わなかった。血管などに直接栄養を取り込む、点滴のような方法で必要
なエネルギーを得るのである。その為、利用価値があるかないかが判断基準として最も重要な要素となる。論理と知識が優先され、同情心は全くない。
 彼らの明確すぎる判断は常にそれらに機械的なまでに従事していた。
 若い男女や子供は繁殖のために必要となるので殺さない。ある程度の年齢に達していても、繁殖ができるならば後回しにする。
 反対に老人などで繁殖機能が失われている者については、栄養源として摂取された後、殺害される運命となるのだ。
 第二に抵抗の意志が強い者も、彼らとしては危険要素として排除する方向へいく。そういった人間が他の人間に影響を与え、叛乱を起こす可能性があると、彼らは
計算上理解していた。尤も、離れた位置に居るヒカルにはそれは分からなかったが、おぞましい出来事が起こっていることだけは理解できた。
 ヒカルは一歩でも戦闘機械から逃れようと全速力で走り出す。
 頭の部分は時と場合によって位置を変えるらしく、籠に詰め込まれた人々も頭の動きに引きずられ、めまぐるしく場所が変わった。
 中には気分が悪くなって、動けなくなっている人も数多く居た。
 ヒカルは何度も振り返りながら、自分を追う戦闘機械から一歩でも遠く離れようとするが、着実に近づかれつつある。
「進藤っ!」
 絶望しそうになる心を叱咤して走るヒカルに、アキラの声が聞こえたのはまさにその時だった。


                                                             7DAYS ACT6 金曜日(後編)7DAYS ACT6 金曜日(後編)7DAYS ACT6 金曜日(後編)7DAYS ACT6 金曜日(後編)7DAYS ACT6 金曜日(後編)   7DAYS ACT7 土曜日(後編)7DAYS ACT7 土曜日(後編)7DAYS ACT7 土曜日(後編)7DAYS ACT7 土曜日(後編)7DAYS ACT7 土曜日(後編)