花束を君に〜Girl VersionT花束を君に〜Girl VersionT花束を君に〜Girl VersionT花束を君に〜Girl VersionT花束を君に〜Girl VersionT   花束を君に〜Girl VersionV花束を君に〜Girl VersionV花束を君に〜Girl VersionV花束を君に〜Girl VersionV花束を君に〜Girl VersionV
 先刻天化が紅茶を注ぐ仕草をした時、服の皺のより方で、胸の膨らみが以前よりもボリュームが増しているように感じたのだ。 
布越しで分かってしまう辺り、この男は実に細かく観察しているらしい。
 
 必死に胸を隠しても、何度も肌を重ねた経験は伊達ではない。柔らかで弾力のある菓子のような感触をした肌を思い出し、道
 
徳は口元に僅かな笑みを作る。それだけで天化には道徳が何を考えているのかピンときた。
 
「もう!変なこと想像してるさね!?スケベ親父!」
 
「……あれ?バレた?」
 
 ニヤニヤと笑うこの顔を見て、分からないのは余程の鈍感か馬鹿だろう。うーっと唸りながら道徳を睨みつける、その姿は毛を
 
逆立てた猫そのものだ。道徳からすると、そんな天化も可愛くて堪らないのだが。
 
「そう怒るなって。……で?正直な話、どうなんだよ」
 
 表面上は真面目な顔を作って見せても、恋人でなかった期間も含めて伊達に六年も付き合っているわけではない。考えている
 
事はさっきと少しも変わっていないことぐらい、自分だってお見通しだ。
 
「……教えて?天化」
 
 覗きこまれて顎を引きかけたものの、道徳に引き寄せられてぞくりとするような声で甘く囁かれる。耳の裏に吸い付かれて身体
 
が大きく震えた。この程度の事で腰に力が入らなくなるだなんて自分でも信じられずに驚く。
 
 試験で1ヶ月近く道徳に触れられていないとはいえ、浅ましい身体が恥ずかしくて堪らなかった。
 
 天化が道徳の事を分かっているように、道徳もまたどうすれば天化が話すのか心得ている。どれだけ天化が喋るまいと口を噤ん
 
でも、ねは素直だから話させるのは簡単なのである。
 
 眼を離さずに合わせたまま、唇が触れそうなぐらい顔を寄せて尋ねてやれば、答えはあっさりと得られるのだ。
 
「………お…大きくなったさ。で、でも!ほんの、ほんのちょっとだけだかんね!」
 
 ゆで蛸状態という言葉がぴったりと当て嵌まるほど真っ赤になる天化を、道徳は腕を組んで底意地悪く見詰めた。
 
「ふ〜ん、やっぱりね。いやーこれも俺の頑張りのお陰だな。感謝しろよ」
 
 ぽんぽんと頭を叩いてくる仕草に、天化はやっと自分がからかわれたのだと気が付いた。こんな事をネタにからかうんだなんて、
 
立派なセクハラ行為である。
 
「セクハラ親父!俺っちもう帰る!」
 
 ガタンと音を立てて席を立ち、憤然と足音も荒く玄関を目指して歩き出す。慌てて引き止めてくるかと思いきや、道徳の反応はあ
 
っさりというよりも素っ気ないものだった。
 
「どうせお前は料理ベタだから手伝えなんて言わないよ。邪魔だからとっとと帰りな」
 
 しかしそれが怒り心頭中の天化の負けん気に火を点ける。玄関に行きかけた足を止めて即座に踵を返した。
 
「失礼さね!俺っちにだってそれぐらいできるさ!いつも母ちゃんの料理とか、洗い物とか手伝ってんだかんね!」
 
 勿論天化がこう反応する事ぐらい道徳はお見通しである。本当は引き止めて欲しいくせに、素直に言えない意地っ張りで強情な
 
ところも可愛いので、ついついからかってしまうのだ。
 
 でもフォローさえちゃんとすれば、すぐに機嫌が直ることだって知っている。
 
「へえ〜。じゃあやってもらおうかね」
 
「……何でも言ってみれば?」
 
 道徳は薄く笑い、顎をしゃくってシンクに積まれた食器類を指してみせる。
 
「んじゃ洗い物片付けて。それが終わったらそこに量ってある小麦粉を篩いにかける。次に砂糖を百グラム量って、篩いにかける。
 
それから………」
 
「そんな一辺に言われてもできないさ。とにかく洗い物を片付けるから、他はその後」
 
 延々と続きかねない道徳の指示に、慌てて言葉を挟んで遮った。腕まくりをしてカチャカチャと音を立てて食器を洗いながら、天
 
化は自分がいいように使われていることにはたと気が付く。ここまでしないと分からない辺り、本当に天化は素直に育てられてい
 
るらしい。道徳とは大違いである。
 
 並よりもワンテンポずれつつも、抗議しようと振り向いて硬直した。唇に柔らかなj感触が掠めるように触れたからである。しかし
 
その温かみはほんの一瞬で消えてしまい、天化はぼんやりと自分に口付けた男を見詰めた。
 
 道徳は茫然としたままの天化に少し笑って、今度はちゃんと唇を啄ばんでやる。
 
「手伝ってくれたご褒美に、今夜は泊めてやるよ」
 
「……折角だから泊まってってやるさね」
 
 天化が高飛車な態度をとるのは照れくささの裏返しだ。そういうところがまた男心をくずぐるのである。
 
「有り難き幸せでございます」
 
 おどけた調子で答えながら、道徳は軽く方目を瞑ってみせ、夜を予感させるような深く長い口付けを互いに交し合った。
 

 決して広くはないセミダブルのベッドは、二人が動く度に軋んだ音を立てる。ぼんやりと浮かんだスタンドの光は暗い室内に不釣
 
合いなものに見えた。スタンドに映し出されたものは人影が二つ。それは一つに重なり、また離れるという動作を繰り返し行ってい
 
る。まさに果てというものがないように。
 
 大きく身体を痙攣させて、華奢な身体がベッドに沈み込む。乱れた吐息を繰り返し、胸を上下させる天化の髪を道徳は優しくかき
 
上げた。汗で濡れた前髪から見える額に軽くキスをする。
 
「う…ん……コーチ……?」
 
 舌っ足らずな声に笑いかけ、道徳は自分の体重がかからないように身体を反転させた。道徳を上から見下ろすような形になり、
 
天化は戸惑いを隠せずに瞳を彷徨わせる。天化の額を再度撫でると、安心したのか少し笑った。
 
 天化としては物足りないのが本音だ。今夜は道徳の腕の中で二度も抱かれたというのに、疲れるどころかもっと彼が欲しくて堪
 
らない。未だ自分の内部で存在を主張するものも気になるし、それなのに何もいしようとしない彼のことも気になる。こうして受け入
 
れているだけで身体の奥が熱くなってくるというのに。
 
「……もうなにさ…コーチ。じっと見てるだけじゃわかんねぇだろ」
 
 ぴたりと隙間なく身体を密着させて、顔を覗き込みながら囁きかける。頬に触れてくる手は心地よく、道徳の気持ちを代弁してい
 
るようで優しく暖かかった。知らず笑みを浮かべてその手を取って擦り寄り、逞しい胸にしがみ付く。背中を撫でてくれる腕が気持
 
ちよくて、これまでの疲れもあって眠気が少しずつ襲ってきた。
 
 瞬きを繰り返す仕草はかなり眠そうで、道徳は子供に話しかけるように天化に尋ねてみる。
 
「…天化…疲れてるんだろ。そろそろ寝るか?」
 
「……もう一回したら…寝るさ」
 
 眠いのも確かなのだが、自分の中で力を取り戻しつつある道徳の存在を認めてしまうと、寝るよりも悦楽を求めたくなる。道徳は
 
天化の言葉に驚きながらも、首に回された細い腕に唇を落として強く抱き締めた。
 
 それに応えるようにうっとりと瞳を閉じて頭をぐりぐりと押し付ける。道徳の手は相変わらず優しい感触で撫でてきていた。
 
 道徳は猫が甘えているような天化の仕草に笑みを零し、負担をかけないように自身を引き抜く。
 
「あ!……や…コーチ……なんで………」
 
 甘い声に込められた僅かな抗議にも耳を貸さず、天化を抱き締めたまま布団の中に潜り込んだ。
 
「最初から始めて最後まですることにしような」
 
 返事を待たずにそう告げて、柔らかな胸に顔を埋めて口付けを繰り返す。赤い刻印が刻まれる度に小刻みに震えてしまう感じ
 
やすい肉体を持つ少女は、たったこれだけで息を乱して太股を擦り合わせていた。
 
「……あん…は………ん…」
 
 天化には道徳の考えている事がさっぱり分からない。ついさっきまで自分を抱いていたのだから、今更こんな事をする必要が 
ないぐらい知っているはずなのに。熱い舌で先端を舐め上げられ、無意識に道徳の頭を抱き締める。転がすような愛撫に堪ら
 
ず腰を浮かせると、大きな掌で包むようにして捏ねられた。
 
「………うん…ぅ…も、コーチィ」
 
「まだ序の口だろ?我慢しろって」
 
 布団の中に入ってしまっているせいか、スタンドの明かりも届かず殆ど真っ暗だ。熱も籠もって、お互いの体温で凄く暑い。
 
 いや、体温の為だけではなく、快楽に身体が火照っていることも確かである。
 
 道徳の唇を鳩尾を辿り、臍に触れて下腹へとゆっくり進んでゆく。
 
 シーツに付いた天化の手には力が入らず、体重を支えきれずにブルブル震えていた。
 
「くぅ…あ!……」
 
 指に敏感な部分を擽られ、天化はくずおれるようにしてベッドに倒れこんだ。枕に顔を押し付け、端を強く握り締めて刺激をなん
 
とかやり過ごそうとする。しかし道徳はそれを嘲笑うかのように、天化の秘書に唇を寄せる。
 
 わざと音を立てて舐めながら、指を入れて抜き差しを繰り返す。羞恥と快楽に頬を染め、眉を寄せて喘ぐ天化の顔はまさに欲
 
情を煽るうってつけの材料で、道徳は自身がどんどん昂ぶってきていることを感じていた。
 
 敏感な部分を指で突いてやると、ぬめりのある粘液が絡んでくる。それの助けを借りて指を増やし、天化の声にねだるような甘
 
さと切羽詰まった色合いが増え始めた頃合を見計らって、するりと手を離した。
 
「コーチ……やだぁ…」
 
 縋るような眼差しをする天化に宥めるキスをし、道徳は枕を自分の背中に当てて仰向けに寝転がる」
 
「天化、俺の傍にきたら身体を起こしてみて」
 
 言われた通り僅かに身体を起こした天化の腰を支え、もっと上体を起こすように指示を出す。焦らされたお陰で思考もままな
 
らないのか、天化は素直に従った。いつもだとこんな格好をさせようものなら嫌だと騒ぐのに。
 
 天化が身を起こすと被っていた布団が落ちて、ほの明るい部屋に道徳の腰を跨ぐようにして座る天化の裸身が白く照らし出
 
された。急に冷たい外気に触れて少し正気に戻ったらしく、慣れない状況に不安げな顔をする。
 
 道徳は安堵を与えるように微笑み、天化の腰を持ち上げた。
 
 何が何だか分からずにしきりに首を傾げていると、熱い質量が不意に押し当てられる。堅いそれに慣らすように撫でられただ
 
けで、力が抜けて自然と腰を落とし彼を迎え入れていた。完全に今の状況が分かり、初めての体位に恐怖すら感じて全身の力
 
を強張らせる。息を詰めて衝撃に耐えていると、背中を撫でる腕と共に声が聞こえた。
 
「いつも通り力を抜いていたら大丈夫だから」
 
 触れていくる道徳の手に頬を摺り寄せてホッと息をつき、握り締めていた指を解く。
 
 落ち着いてくるに従って様子を窺ってみると、道徳を日頃とは違った上体で見れて新鮮だった。いつも自分の視界に収めら
 
れる道徳の姿は、頭と肩から胸元ぐらいである。それ以外のところなんて殆ど見た試しがない。
 
 尤も、天化自身にそんな余裕自体がないのも事実なのだが。
 
 ほんのたまに一緒に風呂に入ったりする時は、恥ずかしくて眼を閉じてしまっていたり、道徳の仕掛けてくる悪戯や遊びの相
 
手をしていたりして、余計なこと自体考えない。
 
 物珍しげに堅く引き締まった鳩尾や下腹に手を這わせていると、道徳が擽ったそうに身を震わせて笑った。
 
 それが受け入れている秘部に甘い感覚を呼んで、天化は小さく息を吐いた。
 
「…はぁ……ん」
 
 その声に道徳は満足気に笑みを浮かべ、ゆるゆると腰を揺すり始める。天化から更に力が抜けて、少し前かがみになって手を
 
肩口についてくる。下腹の締め付けがきつくなり、それに声を殺して天化を支えていた腕を離して、柔らかな胸を掌で包み込んだ。
 
 甘いと息を零して無意識に道徳に合わせて腰を動かし、大きく開いた膝をもどかしげに立てたり寝かせたりと、幾度も繰り返す。
 
快楽が深くなるに従って無意識にコツを掴み始めたのか、天化は自らの体重も利用してより深く受け入れようとしていた。
 
 気持ち良くて、熱くて、自分でも持て余してしまうというのに、限界がないように欲しがろうとする衝動を抑えられない。涙でぼやけ
 
る瞳に道徳を映して、天化は彼に自分の熱を伝えるようにキスをした。
 
 道徳も天化を引き寄せて深く内部を貫き、掻き回す。
 
 重なり合った肌から互いの熱と想いを交歓するように、悦楽の強い波に二人は身を任せていった。