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 コテージに着いてからは、支配人がやってきたり従業員がやってきたりで、二人で話す暇もなかった。だが、二人きりになったら 
なったで、気まずい沈黙が落ちるだけである。 
 夕食の時も道徳はむっつり黙ったままで、最初に機嫌が悪かった天化の方が今度は彼の様子を窺わねばならない。夕食後しばらく 
して、とうとう無言の空気に耐えかねて天化は沈黙を破った。 

「……あ、あのさコーチ……。さっき支配人さんとかと何話してたのさ?俺っち英語だったから分かんなくて」
 
 なるべく明るい口調で話しかけたが、道徳はちらりと視線を向けただけで素っ気無く応える。
 
「柔道の稽古をつけてやったって言ったんだ」 

「……稽古?何で」 

「手を出してきたのがアッチが先とはいえ、騒ぎになったら折角の旅行が台無しだからな。それに過剰防衛みたいなもんだし、あれ 
は柔道の投げのデモンストレーションってことにしたんだよ」 

「そ、そんな事していいのかい!?」 

「構わないさ。ホテル側も表沙汰にしたくないだろうし、奴らもそうしてくれてホッとしているだろうよ」 

 再び気まずい沈黙が落ちてしまい、天化は会話を何とかしようと頭を働かせるが一つも思いつかない。 

「……大体天化は無防備過ぎるんだ。あんな輩にすぐ声をかけられるし、にこにこ話すし」 

 今度は道徳が口を開いたものの、まるで天化が一方的に悪いような言い草に、機嫌をとろうとしていたことも忘れてムッとした。 
昼間道徳に声をかけていた胸ばかりデカイ女の事を思い出すと、余計に腹が立つ。 

「別ににこにこ喋ってなんかないさ!コーチだって声かけられて鼻の下伸ばしてたじゃねぇか」 

「あんなの社交辞令だろ。俺は天化が心配で堪らなかったのに」 

「俺っちの事ほったらかしにしたくせに。それに心配だったら何でもっと早く来ねぇさ」 

「荷物番してろって言ったのはお前だろうが。行った時には皆天化が倒した後だったしな……」 

 俺の分も残してくれても罰はあたらないのに、とブツブツ道徳は続けた。男として守るどころか自分で全部されてしまっては何の 
為に鍛えてきたのか分からない、とも声に出さねど考えて余計に憮然としてしまう。 

 天化は尚も言い返そうとしたが、ハタと気付いて道徳を見詰めた。 

(……あれ?もしかして………) 

 じっと見ているとすぐに理解できた。どことなく唇を尖らせて目も合わせようとしない顔は……。ようは道徳は拗ねているらしい。 
拗ねて自分を構ってくれと駄々を捏ねているだけに違いない。 

 恋人にいいところも見せられず、ヤキモキさせられて子供のように拗ねているのだ。分かってしまうと、相手をして損をした気分 
になりかなり呆れてしまったが、今の道徳の姿が妙に可愛く思えて頭をぎゅっと抱き締める。 

「コーチってば可愛いさ〜!」 

「……六歳も年上の男捕まえてなんて台詞だ」 

 口ではそう言いながらも彼の頬は僅かに赤い。それが更に可愛くて、額や頬に口付けを落とす。 

「ホントに可愛い!コーチのそういうとこも俺っち大好きさ」 

 余りに真っ直ぐな言葉に気圧されてしまい、ボソボソと答える道徳に、天化はわざと聞こえないフリをした。 

「え〜?俺っち聞こえなかったさ。もっかい言うさね」 

 顔をいつもより赤くし、一つ咳払いして天化を膝の上に乗せると、道徳は背中から華奢な身体を強く抱き締め耳元に内緒のように 
囁いた。
 
「……俺も天化が大好きだよ………」 

 天化は満面の笑みを浮かべてよしと一つ頷いて、仲直りのキスをそっと道徳の唇にした。 

 水滴をタオルで拭い、天化はバスローブを羽織る。下着も一切身につけないで、一つ深呼吸してから寝室のドアを開けた。部屋で 
は道徳が同じ白いローブ姿で荷物の中を探っており、天化のことにも気付いていない。 

「コーチ、何やってんのさ」 

「こんどーさんを探してるんだよ。おかしいな……ここに入れた筈なのに…」 

 振り向かずに荷物を確認し続ける道徳の後姿を眺めながら、ベッドに腰掛けて足を組む。 

「俺っちなくてもいいさ」 

「何言ってんだ。これは男として最低限のエチケットだぞ」 

「大丈夫さ。ちゃんとコーチは責任とってくれんだろ?」 

「そうなったら喜んで婿入りでも何でもするに決まってるじゃないか」 

「だったら問題ねぇさ」 

 あっさり言われてしまうと道徳もさすがに焦るが、鞄に未練を残していても仕方ないので明かりを消した。 

 
電気を消しても仄かに室内は明るい感じがする。白いローブは夜目にも鮮やかで、それに引き寄せられるように道徳は天化にのし 
かかった。 

 キングサイズのダブルベッドなので、二人が乗っても軋みもしなければ揺れもしない。中央部分だと特にそうなのか、口付けを交 
し合い互いの身体を抱き締める彼らには、僅かな振動すら感じることはできなかった。 

 分厚いローブも上から柔らかな胸を揉みしだいていた手を、するりと中に潜り込ませる。 

「あ……う…ん」 

 小さな喘ぎを零し、天化は道徳の身体を無意識に押し返そうとする。掴んだローブが肩口から落ちて、僅かに日焼けした肌が顕に 
なった。引き締まった広い胸と鳩尾に、鼓動が早くなる。 

 道徳のクスリと笑う声が聞こえて、耳まで赤くなって視線を逸らすと、手をやんわりと取られて指先を舐められた。ビクッと身を 
竦ませ、喉の奥で声を押し殺す。指は天化の弱い部分の一つで、道徳はそれを知ってわざとじっくり舌を這わせていった。 

「…はぁ……や…だ……」 

 指への愛撫だけで頬を上気させ、甘い吐息を吐いて潤んだ瞳で見詰めてくる。まるで自分を誘うかのようなその媚態に、道徳は己 
が熱くなってくるのを自覚する。 

 ローブを脱ぎ捨てて床に落とし、天化のローブを広げて首筋から胸元の膨らみに唇を寄せた。舌で突起を転がすように舐め上げる 
と、与えられる快楽に小刻みに震える膝が、更に快感を求めて微かに開き始める。 

 形を辿るように手で包み込み、じっくりと捏ねると、赤く色づいた唇から高い声が溢れた。 

「あぁん!ふぅ……コーチ」 

 特に感じやすい部分を探られると、身体の奥がどんどん熱くなってくる。持て余すしかない疼きが湧き上がってきて、それから少 
しでも逃れようと身を捻るが、道徳の舌はその程度で外れる筈もなく、仕返しとばかりに先端に軽く歯を立てられた。 

「く……ぅあ……は…」 

 背を仰け反らせた拍子に足が開いてしまい、閉じようとした時には既に指が入り込んでいた。双方を同時に嬲られると、意味をな 
さない声をあげることしかできない。 

 指でそっと襞を分けて撫で上げて確かめてみれば、天化のそこは既に熱く潤んでいる。滑りを借りて擦りながら、唇を下方へとず 
らした。その途中で天化の腰骨に歯を当て、臍を舌でくすぐる。 
 堪らず身体を丸めて髪を掴んでくる天化に苦笑し、指を内部へと忍ばせた。 

 もう何がなんだか分からなくて、頭の中が真っ白になる。唇から出るのは自分でも押さえようのない甘ったるい声ばかりだ。道徳 
とこうして抱き合うのは初めてではない。もう既に何度も体験している。けれど、回数を重ねる毎に感じる快感は強くなるばかりだ。 

 それはまるで果てがないようで、すればするほど道徳が欲しくて堪らなくなる。 

「可愛い……天化」 

 耳元に域を吹き入れながら囁くと、少女はぼんやりと自分を見詰め、腕を伸ばして背中にしがみ付いてきた。応えて抱き締めて濃 
厚な口付けを交わす。舌を絡めて口腔内を味わい、項にきつく吸い付いた。赤い所有の刻印に満足して、再び鎖骨からゆっくりと唇 
を降ろしてゆく。 

 指を掻き回すように抜き差しすると、もどかしげに足を開いたり閉じたりする。指の数を増やしてイイ所を突き上げ、舌で敏感に 
なっている周囲をくすぐった。 

「くぁ!ダメェ……コーチ」 

 まだ慣らし程度の刺激でも天化には堪らないらしい。内股をヒクヒクと震わせる反応と、耳を打つ切羽詰った声で道徳には手に取 
るように分かる。 

「ほら、我慢しないで」 

 雫すら零している秘所を、増やした指を曲げて擦ってやると背を弓のように撓らせて激しく頭を振った。 

「や……や…ぁ…あぅ…!」 

 無意識に拒絶を洩らしながらも、天化は身体を痙攣しながら強張らせ、やがて全身の力を抜いた。